私の研究室への大学院進学を考えているかたへ

私の研究室に関心をもっていただき,ありがとうございます。一緒に研究できる機会があれば,とてもうれしいです。

★研究室の指導方針

テーマは,障害や発達にかかわることであれば,自由です。私の研究室は,テーマの類似性よりも,テーマに向き合う姿勢を大事にして指導しています。それは「驚愕」と「共感」です。

●「驚愕」●
「そうきたか」と思わせる研究を大事にしています。
研究は「目のつけどころ」が勝負です。そのためには,ちょっと人と違うことを考えることを大事にしています。もちろん,単に目立つことが目的ではありません。驚愕が驚愕たるゆえんは,聞いている人の認識の自由度をあげ,その人の世界の枠組みを広げていく点にあります。そういう面白い研究を,と思います。そのためには,普段から「おぉ!」と思える感性や,「ちょっと違うこと,なんかおもろいことやってみたいなー」という遊び心が大事になります。同時に,幅広い読書量もカギを握ります。

 ●「共感」●
「そうだよね」と感じてもらう研究も大事にしています。
「驚愕」だけではウケねらいだけのゲテモノ研究になる危険性があります(私はそうなりがち…)。驚愕しつつ,研究を聞いた現場の人が「そうだよね」「わかるなぁ」と共感してもらえる研究を大事にしています。そのためには,たくさん現場にいって,子どもの気持ちに触れる/教師の理屈を知る,そういう経験が大事です。キレてばかりいる子どもを注意したり,修正しようとする前に,キレざるをえない子どもの理屈を感じることが必要です。教室で全然笑わない先生を批判する前に,笑えない先生の生きる理屈を知ることが必要です。現場の理屈を知ることが,共感を生み出す研究につながります。

●驚愕+共感=面白い研究●
 「驚愕」と「共感」がそろったとき,「面白い」研究になります。そういう研究は,子ども観,障害観の見方を変え,かつ,実践者のアイデアが湧いてくるような源泉を提供する研究にもなります。
逆にいえば,「データや技法はすごいけど,テーマが普通」や,「これが正しい。こう実践すればよい」と主張する研究は少なくと私の研究室では目指していません(無自覚の「正しさ」は,ときに暴力的になります)。

★私の研究室に合っているであろうかた

学部生時代に,心理学の基礎的な研究手法を学んでおく(量的でも質的でもかまいません)ことが前提です。そのうえで,以下のような志向性を有するかたが私の研究室に合っているかと思います。
※なお,以下はすべて大学院進学にあたっての内容です。学部生のゼミ配属(※子ども教育学科3年生時に配属)は,ゼミ面接の際に説明します。

  • 「教育・福祉・心理領域での専門職をめざしている」
  • 「知的障害・発達障害のある子どもを対象とした発達研究をすすめたい」
  • 「保育・学校・福祉現場をフィールドに,子どもの発達やインクルーシブ教育について研究をしたい」
  • 「いろんな保育・学校現場を訪問するのが好き。そしてそこでのちょっとしたおもしろ・不思議エピソードから研究の問題意識を立てることが好き」
  • 「修士論文の成果を,学術論文として発表をめざしたい」
  • 「既存の学校規範(できる・ちゃんと・おなじ)からはみ出した子どもの姿に,何かを感じとってしまう」


具体的には,拙著「子育てのノロイをほぐしましょう:発達障害のある子どもに学ぶ」(日本評論社)の内容に共感する方があっているかと思います。能力主義的な規範に対して距離を取りつつ,発達臨床的な研究を志すかたが合っているかと思います。既存の枠組みではしんどくなってしまう子どもたちの姿がどうしても気になったり,主流からちょっと外れた事象になぜか面白さを感じてしまうような方と一緒に研究したいと思っています。

逆に言えば,次のような志向性の方は,私の研究室を避けたほうがよいかと感じます。

  • 「教育・福祉・心理領域での専門職をめざしていない」
  • 「実験室のなかでの研究を行いたい」(私の専門ではない)
  • 「保護者を対象とした研究を実施したい」(私の専門ではない)
  • 「どうしたら子どもが『できるようになるか』を目指す研究を実施したい」(志向性が異なる)
  • 「保育・学校現場にあまり関心がない」(志向性が異なる)
  • 「多数派と異なるオルタナティブな事象に関心がない」(志向性が異なる)
  • 「(研究するよりも)いろんなことを学びたい」(大学院は研究をする場です。学びたい場合は,聴講生や科目等履修生として学部の授業を受講するのが適切かと存じます)


もちろん,研究に対する志向性が,私とぴったり一致することはまずありません。それに,研究室の志向性は固定的なものでもありません。そのときどきで,(たまたま)居合わせたメンバーで,大事にしたいことを創りあげていくのが本来的であるとは思います。ただ,それでもある程度の共通の志向性があることは大事かと思います。参考にしてください。

また,大学院博士前期課程の専門科目に関する受験対策についてですが,立場上,個々の学生に対して具体的な内容をお伝えすることはできません。そのうえでとなりますが,一般論として,以下のような対策がよいかと思います。
1)過去問を実際に解いて対策を練る:個人的には,これに尽きる気がします
2)本研究科心理系所属教員の著作(書籍・論文)を読む
3)学部生レベルの教科書を読みこむ。例えば,私の領域(発達心理学・発達障害)ですと,「よくわかる認知発達とその支援」(ミネルヴァ書房),「問いからはじめる発達心理学」(有斐閣),「子どもの理屈からはじめる特別支援教育」(北大路書房),「現代の特別ニーズ教育」(文理閣)などです。もちろん,他のテキストでもよいかと思います。

なお,私が属する学部・大学院が,改組を繰り返していることもあって,外側からみると,どこを受験すればいいのか,わかりにくくなっているかと思います。参考までに以下,説明します。

★修士(博士前期)課程への進学を考えている場合★

大きくは2つのコースがあります。ただ,いずれの場合も,事前に,ご自身の進路・研究内容などと大きく関係しますので,私まで必ず連絡・相談してくださいますよう,よろしくお願いします。連絡先は,神戸大学の私のページに,メールアドレスが記載されていますので,そのアドレスにメールをいただければと思います。

●その1●公認心理師の資格取得を希望する
「神戸大学大学院・人間発達環境学研究科・人間発達専攻・心理系・臨床心理学コース」の区分で受験してください。ただし,公認心理師の場合は,学部で,4年生大学で指定科目を履修している必要があります。臨床心理学コースの先生方に,実習などの指導を受けつつ,私の研究室で研究することができます。
(なお,本研究科では,臨床心理士は取得できません)

●その2●公認心理師の資格取得を希望しない
「神戸大学大学院・人間発達環境学研究科・人間発達専攻・心理系」の区分で受験してください。要は,臨床心理学コースではない区分で受験してください。


★博士後期課程への進学を考えている場合★

基本的に,博士後期課程からの受け入れは行っておりません。博士論文を執筆するには,修士からの一貫した指導が重要になると考えているからです。そのうえでとなりますが,博士後期課程からの進学を強く希望する場合は,必ず,事前に(できれば早めに)ご相談ください。連絡先は,神戸大学の私のページに,メールアドレスが記載されていますので,そのアドレスにメールをいただければと思います。


★進路★

なお,本研究室で修士や博士を終了したあとの進路は,「自治体の発達相談員」「発達障害者支援センターの心理職」「小学校の教員」「特別支援学校の教員」「児童発達支援事業所の心理職・福祉職」「医学部への編入」「大学教員」などです。 

※過去の卒論・修論・博論などのテーマ※

●卒論

2025年度
「保育者と小学校教師の子どもを見る視点と指導・支援の意図の違い――就学期の「気になる子」の事例によるインタビューより――」
「反抗的だった児童が落ち着き,成長していくプロセスと教師の関わりの検討‐小学1年生から3年生までの変化に焦点を当てた事例研究‐」
「重度知的障害児が音楽会に参加することにおける教師の捉え方―音楽会の参加の様子と教師へのインタビューを通して―」
「小学校4年生から6年生における障害のある児童への過剰援助:障害のない児童との比較および他者配慮に着目して」
「障害児をきょうだいにもつ大学生における罪悪感の発生と癒えるプロセス―自分が悪くないのに抱く罪悪感に注目して―」

2024年度
「ASD当事者は,小学校・通常学級の「きまり」をどのように捉え,どのような変革を求めるのか:知的障害を伴わないASDの診断を受けた成人の語りから」
「小学校教師の「まじめにユーモアのある言葉かけ」の検討:X先生の言葉かけの実態とその意図から」
「軽度知的障害のある青年は特別支援学校における恋愛の制限ルールをどう捉えるのか:仮想場面におけるインタビューを通して」
「特別支援学校勤務後に形成された子どもを見る視点と教育的かかわりの変化:教師へのインタビューを通して」

2023年度 

「教職志望意識の変容過程:教職志望意識の強さを支えたものは何か」
「学童期の「なりきり行為」とその意味の探究―「優しい不良」になりきる児童の事例から―」

「教育学部以外の大学生が子どもと関わる際に感じた戸惑いや難しさはどのように変容し,これからに活きるのか―ボランティア活動に継続参加してきた学生へのインタビューを通して―」

「ベテラン保育者におけるリアリティ・ショック経験と対処―保育者が成長し続けるために―」

「学級の支持的風土を醸成する教師の働きかけ―小学校2年生学級を対象とした縦断的観察および担任への聞き取り調査を通して―」


2022年度
「特別支援教育の場から福祉の場へと移行した重度知的障害者の保護者が経験するポジティ ブサプライズとリアリティショック」
「青年における積極的困難受容プロセス―とてもつらかった経験を乗り越えた青年への聞き取り調査から― 」
「集団保育の片付け場面における保育者の対応と子どもの反応―4 歳児クラスでの観察を通して―」
「公立小学校通常学級担任を対象とした合理的配慮の実施経験の実態調査―モディフィケーションに注目して―」
「理科探究学習における知的障害特別支援学級在籍児の授業参加:一斉授業と比較して」

2021年度
「外国語活動において具体物教材を活用すると児童の学習はどう変わるか~楽しさの向上,語彙の定着,身振りの産出に焦点を当てて~」
「教員養成課程の学生におけるICT活用指導力の向上~メタバースを構築するワークショップを通して~」
「探究学習における「主体性」をインターン生はどう捉え, 変容しているか:9 か月間のリフレクションの分析を通して」
「障がいのある子どもの「問題とみなされがちな遊び」に対する保育者のかかわり〜津守真の実践から〜」

2020年度
「発達障害のある子どもに対する小学校体育科表現運動系領域の意味:指導に熟達した教師の語りから」
「プロジェクト型保育の視点からみた幼児期におけるインクルーシブ保育の可能性 」
「大学生における「自分をほめる」行為と生きづらさ,パーソナリティとの関連」

2019年度
「AD/HDグレーゾーンに対するスティグマに周囲者の努力重視傾向がもたらす影響 」
「ふつうになりたいとこだわる軽度知的障害がある青年はなぜふつうにこだわらなくなったのか:軽度知的障害者の障害受容」
「フリースクールの設立者の教育観の形成過程:ライフストーリーの分析から」
「青年期のもつ宗教性が精神的健康に及ぼす影響」

2018年度
「幼児期における他者の特性理解について:特性推論における一般的他者と具体的他者との違いに注目して」
「幼児の上方比較による目標志向性ごとの達成動機づけへの影響の検討:他児ができたという情報の有無の違いに注目して」

2017年度
「幼児の戦いごっこにおける「自発的負け」の成立基盤」

2016年度
「小学生の習い事における成功経験が自己効力感へ与える影響:目標への意識に注目して」
「特別支援対象児以外の子どもは特別支援対象児への個別支援をどのように捉えているか」
「障害者をきょうだいに持つ人の育ち:きょうだい特有の悩みに着目して」
「大学生における過剰適応傾向と自己理解の関連」

2015年度
「当事者から見た「気になる子」の小学校への移行とその躓き:躓きからの回復と幼児期に受けた保育との関係から」

2014年度

「障害幼児をもつ親の子ども観が求める療育内容に及ぼす影響」


●修論
2025年度
「特別支援学級に在籍する児童は,交流学級の児童とどのように関わるのか:エコラリアを有するA児の行為の調整に着目して」
「合築された小学校と特別支援学校における継続的な交流及び共同学習の効果―小学校児童における知的障害児への態度や認識の変容に着目して―」
「保育者は幼児の「何もしていない振る舞い」を理解する際にどのような視点・条件を手がかりにしているのか」
「小学校4年生から6年生における障害のある児童への過剰援助:障害のない児童との比較および他者配慮に着目して」

2024年度
「定型発達者におけるASD者に対する社会的距離の変容―X(Twitter)上におけるパブリック・スティグマ的投稿とセルフ・スティグマ的投稿の呈示を通してー」
「特別支援学校勤務を経験した小・中学校教員における合理的配慮の変容―教育観の変容との関連に着目して―」
「小学校1年生は,他児童や教師の逸脱行為をどのように捉えるのか—インクルーシブな学級在籍児と一般児との比較から—」
「小学校・通常学級担任における発達障害およびその疑いのある児童に対する子ども理解の変容とその要因」

2023年度
「前言語期の自閉症幼児における要求行動の発達」

2021年度
「フリースクールで子どもは「遊び」をどのように経験するか」

「宗教意識と宗教行動の矛盾に対する捉え方についての検討 :無宗教を自認する大学生への半構造化面接を通して」
「特別支援学校の教師は,軽度知的障害のある青年の「障害受容」をどのように捉えているか 」


2020年度
「通常学級の支援を要する児童への教師による指導はどのような基準で決定されているのか」

2019年度
「小学生は授業スタンダードをどう捉えるか:個人の権利意識の観点から」

「児童を教示相手に想定した教示準備と教示行為が学習内容の理解に及ぼす影響」
「幼児の戦いごっこにおける「内発的負け」の発達」
 
2018年度
「「仲良くなりたい」自閉症スペクトラム障害者の自己開示:定型発達者との比較を通して」

2017年度
「小学生における自尊感情の発達的変化:社会的比較・継時的比較に着目して」
「通常学級における個別指導を他児童はどのように捉えているのか」

「自閉症スペクトラム障害者はどのような顔を好むのか? :性的二型性・成熟性の観点から」

「就労3年目以降の高機能自閉症スペクトラム障害者における求職・就労上の困難の体験プロセス」


●博論
2024年度
「軽度知的障害のある青年における障害受容の理論に代わる半具象モデルの構成:障害を否定的に価値付ける規範意識の変容に着目して」

2023年度

「特別支援学校教師はどのようにASDのある子どもと協働を可能にする社会的相互作用を成立させているのか:教師の実践知に対する現象学的探究」

2022年度
「級友に実施される個別支援に対する児童の捉え方及び変容過程の検討」

2016年度
「幼児は「誰の」気持ちがわかるのか?:情動推測における人称性認識の発達的変化」


●長期派遣研修生(兵庫県もしくは神戸市教育委員会からの現職教員)の論文
2023年度
「知的障害青年とその担任を対象とした特別支援学校・高等部在籍時の被教育体験と当時の指導支援の在り方について:回顧的聞き取り調査を通して」

2022年度
「公立小学校におけるイエナプラン教育校はいかにして実現されたのか―福山市立常石ともに学園設立をめぐる議会・教育委員会の議事録・会議録の分析から―」

2021年度
「 」

2020年度
「知的障害青年の学校卒業後の学びについて:企業就労している青年へのアンケート調査と大学での学びの実践報告からの考察」

2019年度
「個別の指導計画の作成におけるモデルプランの作成:神戸市立の特別支援学校教職員を対象とした個別の指導計画についての意識調査を通して」


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●前任校(三重大学 教育学部)で指導した卒論・修論です。懐かしい~。

「児童期抑うつにおける攻撃性の特徴」

「幼児期における友だちの形成-特定の友だちを求め始めるとき-」

「幼児におけるコミュニケーション型知的リアリズム描画の発生要因の検討―他者に描画を見られること・見られないことがもたらす影響―」

「きょうだい構成が幼児の援助行動に及ぼす影響-友だちを手伝う理由に注目して-」

「青年における両親の夫婦関係の認知と自尊感情の関連-友人関係との比較から-」

「幼児のプライドが発生する発達的要因の変化」

「発達障害のある子どもの自己理解:友人への認識との関連」

「乳児期後半における同年齢児への他児意識の発達―不安対象呈示場面での行動から―」

「幼児の絵本に対する想像的活動と感情喚起-登場人物に自分の名前を付けられたら-」

「健康な小学生における病気の子どもに対する態度の研究-共感性と病気の知識の発達から-」

「育児体勢と乳児の気質が移行対象発現に与える影響の比較―養育者への質問紙調査による検討-」

「児童期における自己制御機能と学級への集団所属意識が社会的スキルに与える影響」

「診断がついていないADHD 傾向のある気になる子どもに対する仲間の態度~ADHD の特性を含む情報が仲間の態度に影響を及ぼすか~」

「幼児のテレビゲーム遊びの実態と母親の育児不安・育児肯定感との関連」

「気になる子どもへの支援方針と学級集団づくりに対する信念の関連-小学校教師への質問紙調査による検討-」

「集団での絵本読み聞かせ場面における幼児の相互作用-読み聞かせに関する幼児の発話から-」

「母親の結婚満足度の認知が大学生の結婚観に与える影響―職業観との比較から―」

「音楽指導場面における幼児の年齢に応じた保育者の言葉がけ―4歳児と5歳児の比較から」

「幼児期における自己抑制と関連する諸要因の検討―きょうだい・入所年数・自己抑制の対象となる相手の人数に着目して―」

「小学校における学級集団の形成過程―他者受容感を育てる「支え合い」―」

「自閉症傾向の高い定型発達青年における職業意識」

「児童期における「あがり」の生起時期とその原因-他者意識と準備不足に焦点をあてて-」

「母親の母性神話信仰と育児不安によるソーシャル・サポート選好」

「母親の自己受容と子どもへのかかわり方が親の発達に与える影響」

「子どもの想像上の仲間に関する実態調査-子どもの個人的特徴と環境的背景に着目して」

「母親のもつ「遊び観」と「遊び場面でのかかわり方」が「母親が楽しさを感じる場面」に与える影響」

「自閉症児の三者関係について-大人への愛着と友達への意識を手がかりに-」

「絵本の物語内容における現実性の程度が子どもの想像力に及ぼす影響-日常性と空想性に着目して-」